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初代教会に起った最初の奇跡

『ペテロが言った、「金銀はわたしには無い。しかし、わたしにあるものをあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名によって歩きなさい」こう言って彼の右手を取って起してやると、足と、くるぶしとが、立ちどころに強くなって、踊りあがって立ち、歩き出した。そして、歩き回ったり踊ったりして神をさんびしながら、彼らと共に宮にはいって行った』。（使徒行伝３章６節）

　今日は、初代教会で最初に起った奇跡について話します。２章４３節に「みんなの者におそれの念が生じ、多くの奇跡としるしとが、使徒たちによって、次々に行われた」とあります。これは弟子たちがペンテコステの日に聖霊に満たされた結果だったのです。

　ここに登場する人は、エルサレムの美しの門で宮詣をする善男善女から施しを受けていた４０歳の人で足の不自由な男でした。そして、そこを通りかかったペテロに施しを求めたところが、ペテロが「金銀はわたしには無い。しかし、わたしにあるものをあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名によって歩きなさい」と言って、手を取って起こしてやると、足とくるぶしがたちどころに強くなって歩き出したのです。

　何故こんな奇跡が起こったのでしょうか。それはペテロたちが聖霊の力に満たされていたからです。そしてもう一つは、「ナザレ人イエス・キリストの名」によって命じたからです。

　使徒行伝１４章８節に、パウロが第一回伝道旅行のときに、ルステラで足の不自由な人が癒された奇跡が記されています。このときは、この人は「パウロの説教を聞いたとありますが、パウロの話を聞いて恵まれていたのです。そこでパウロは「いやされるほどの信仰が彼にあるのを認め」、大声で「自分の足でまっすぐに立ちなさい」と言うと、彼は踊りあがって歩き出したのです。このときに奇跡が起ったのは、この人に癒されるほどの信仰があったからです。「今日はイエスの時代のような奇跡は起こらない」と言った人がありましたが、それは正しくありません。「奇跡が起こるほどの信仰」がないからです。今でも信仰のあるところには、奇跡が行われております。

　柘植不知人先生の自叙伝ともいうべき「ペンテコステの前後」の中に、こんな記事があります。先生はいやしの賜物を神からいただいた方で、「呉聖会は大正１２年４月３日より柘植不知人を迎えて、呉市バプテスト教会を会場にして開きました。柘植先生はキリスト教の神髄、すなわち死と甦りの奥義を遺憾なく語られ、手をつけて病の者のために祈られたら、会衆は聖霊に満たされて救われたり、潔められる者が次々に起こり、歓喜はいよいよ堂に満ちて、讃美、感謝の声は尽きることなく打ちつづきました。

　そのなかでも、８３歳の老人で１３年間も足が不自由になっていた人が、神癒会に連れて来られたところが、柘植先生が「ナザレのイエス・キリストの名によって立ちて歩め」と命じると、彼は会堂も張り裂けるばかりの大声を上げて、踊り上がりました。

そこで先生は、「もう乞食をやめて郷里に帰り、神をほめたたえて感謝の生涯をおくるように」と戒め諭したところが、彼は喜びの涙を目にうかべて、何度も礼を言っておりました。まさしく使徒行伝３章の再来のような出来事でした」と。

　大学の教育学部を卒業して、教師になり、長野県の南の県境の分教場に赴任した女子教師が教壇の上で倒れました。名古屋の名大病院の脳神経外科で腫瘍の手術を受けましたが、医師から「もう一回手術をしなければならないが、大変危険な状態だから、家族の人で会わせておく人があったら会わせておくように」とのことでした。

　そこでわたしも名大病院に駆けつけましたが、頭は包帯に包まれ、当人は苦しくて着物をはぎ取ろうともがき、若い娘さんのあられもない姿を見て心を痛めました。それでもわたしが来たことが分かり喜んでくれました。そして「先生、ありがとうございます」と言おうとするのですが、言語障害のために、最初の「せ」という言葉がなかなか出てこないのです。その苦しそうな様子を見て、「あなたの言いたいことはわかった。もうなにも言わなくっていい」と止め、頭に手を置くことはできませんので、その娘さんの手を握って祈りました。

　祈り終わって、いつも大学の聖書研究会でテーマソングのように歌っていた讃美歌３１２番「いつくしみふかき、友なるイエスは…」を最後の餞（はなむけ）のつもりで歌いました。すると驚くようなことが起こりました。なんと言語障害のために「せ」という言葉も出ない人が、最後まで一緒に歌いきったのです。付き添っていた両親は、「Ｎ子が歌った」といって、興奮のるつぼとなりました。そのとき彼女の上に奇跡が起ったのです。もう一度手術をすることなく退院したのです。また、この御業を見たお父さんは洗礼を受けてクリスチャンになりました。（2017.6.11）