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2018年4月15日

弟子たちの思い煩い  

 

『彼らが陸に上って見ると、炭火がおこしてあって、その上に魚がのせてあり、またそこにパンがあった。イエスは彼らに言われた、「今とった魚を少し持ってきなさい」。シモン・ペテロが行って、網を陸へ引き上げると、百五十三びきの大きな魚でいっぱいになっていた。そんなに多かったが、網はさけないでいた。…イエスが死人の中からよみがえったのち、弟子たちにあらわれたのは、これで既に三度目である』。(ヨハネ福音書219節)

 

 

 これは復活されたイエスが、弟子たちの前に現れた三度目の出来事です。場所はテベリヤ湖で、みなさんにはガリラヤ湖といったほうが馴染みがあると思います。つまりイエスの弟子となったペテロたちは、このガリラヤ湖の漁師だったからです。それだのになぜテベリヤ湖と言ったのかといえば、この当時のローマ帝国の皇帝がテベリウスだったので、それにちなんだのです。

 

 では、弟子たちは何故ここに来ていたのでしょうか。それは、復活されたイエスが彼らに言われた、「恐れることはない。行って兄弟たちに、ガリラヤに行け、そこでわたしに会えるであろう」(マタ福音書2810節)との言葉に従ったのです。

 

 ところが、イエスはまだ来ておられませんでした。そこで弟子たちは思い煩いの不信仰を起こしたのです。イエスに従って一緒に行動していたときは、日々の糧はみな賄われていましたが、イエスがおられないと、どうしようと不安になりました。そこで弟子たちは家から舟と網を持ち出して漁をはじめたのです。この舟と網は彼らがイエスの弟子として従ったときに捨てたものでした。

 

 ところが、「その夜はなんの獲物もなかった」のです。彼らがイエスの弟子として従っていた三年半の間に力量が落ちてしまったのでしょうか。そうではなく、思い煩いの不信仰の行動でしたので神の祝福がなかったのです。わたしたちも、神に従っておれば祝福を得ることができますが、不信仰を起こしたら祝福を失ってしまいます。

 

夜が明けたころ、イエスは岸に立っておられ、彼らに言われたのです。「舟の右の方に網をおろして見なさい。そうすれば、何かとれるだろう」と。その言葉に従って網を下ろしたところが、それを引き上げることができないほどの魚が獲れたのです。あとで数えてみると百五十三匹あったとあります。

 

 昨晩、一匹も獲れなかったのに、何故イエスの言葉に素直に従ったのでしょうか。それは彼らが挫折を味わっていたからです。だれでも自分に自信があるうちは素直に従えません。しかし、挫折をしたり、自信を失うと素直になれるのです。詩篇に「苦しみにあったことは、わたしに良い事です。これによってわたしはあなたのおきてを、学ぶことができました」(詩篇11971節)とあります。しかもイエスは、「舟の右の方に網をおろして見なさい」と言われたのです。普通、網をおろすときは舟の左(左舷)におろすそうですが、イエスは右舷におろせと言われたのです。そして弟子たちがお言葉どおりに従ったときに驚くようなことが起こったのです。

 

 さて、弟子たちが陸に上がってみると、炭火が起されて魚が焼かれていました。勿論これは、弟子たちが獲った魚ではありません。イエスが彼らのために用意をしておられたものです。それを見て、彼らは自分たちの不信仰を反省したことでしょう。神はわたしたちの全てをご存知の方です。ですから、どんあときでも思い煩わないで、神を信じてお従いすればいいのです。

 

 マタイ福音書631節以下に「だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言って思いわずらうな。これらのものはみな、異邦人が切に求めているものである。あなたがたの天の父は、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要であることを御存知である。まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えてあたえられるであろう。だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である」とあります。

 

 また、ペテロ前書57節には「神はあなたがたをかえりみていて下さるのであるから自分の思いわずらいを、一切神にゆだねるがよい」とあります。つまり、神はわたしたちの必要をご存知で、必要な物はみな備えてくださるのです。ですから、思い煩いを捨てて、信じていきたいものです。山手教会の近所に越してきたクリスチャンの青年が教会に来られました。ところが講壇から「教会には、味噌も醤油もなんでもある」という話を聞いて、これはえらい教会だと感じ、それから熱心に教会に来られるようになりました。創世記22章に「主の山に備えあり」(14節)とあります。神はわたしの必要を備えてくださる神です。(2018.4.15