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2019年3月10日

ダニエルの祈り

 

それからダニエルは家の帰り、同僚のハナニヤ、ミシャエル、アザリヤにこの事を継げ報せ、共にこの秘密について天の神のあわれみを請い、ダニエルとその同僚とが、他のバビロンの知者と共に滅ぼされることのないように求めた。ついに夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた』。(ダニエル書117節~)

 

 バビロンの王ネブカデネザルのエリート教育を受けたダニエルとヘブルの三青年は、王の信頼を受けて、王に仕える者となりましたが、ある晩、王が夢を見ましたが、あまりにも奇妙な夢だったので、王が気になって仕方ありませんでした。そこで、王に仕える、博士、法術士、魔術師、カルデアびとを呼び寄せて、その夢を解き明かしをさせようとしましたが、王はその見た夢を教えませんでした。

それは適当な、いい加減なこじつけを言わせないためでした。どんなに優れた人でも、他人の見た夢が分かるはずがありません。これはまさしく無理難題です。しかし、王は「お前たちは役立たず」だと怒り、バビロンの知者のすべてを殺せと命じたのです。そしてダニエルたちもその巻き添えを食い、一緒に殺されそうになりました。

 

 そこでダニエルは王にしばらくの猶予を求めて家に帰りました。そこでイスラエルから一緒に連れて来られた同僚、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤにこのことを告げて、「天の神のあわれみを求めて」祈ったとき、幻のうちに夢の秘密が示されたのです。そこで、王に対して、その夢の秘密を解き明かしました。王はダニエルたちに高い位を授けました。つまり、ダニエルにはバビロン全州の総督に任命し、三人の青年もダニエルの願いによってバビロン州に事務を司る者となりました。

 

 では、ダニエルたちはどうして王の夢を解き明かしたのでしょうか。人が見た夢を解き明かすことは無理なことです。でも彼らは諦めないで、神のあわれみを求めて祈ったとき、その真理が開かれたのです。エレミヤ書333節に「わたしに呼び求めよ。そうすれば、わたしはあなたに答える。そして、あなたの知らない、大いなる隠れた事をあなたにしめす」とあります。ですから、わたしたちも無理難題だと思えるような問題に遭遇したときでも、はじめから無理だと諦めないで祈ることが大切です。これが恵まれたクリスチャンの道です。

 

 さて、ネブカデネザル王が見たのは、王が今後、世界にどんなことが起るのかと考えていたとき、神が示された黙示がこれだったのです。黙示とは、神が象徴などにより、暗黙のなかに秘儀を表示することです。

 

 王の見た夢とは、大きな像が立っていて、その頭が純金、胸と両腕とは銀、腹とももは青銅、すねは鉄、足の一部は粘土という奇妙なかたちの像でした。ところが、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土と足を撃ち、これを砕いたら、その像を撃った石は大きな山となって全地に満ちたというのです。

 

 そして、この金の頭はバビロン帝国のことで、その後ペルシャ帝国が起ってバビロンを滅ぼすという幻だったのです。実際、バビロンは50年後にペルシャに滅ぼされてました。そしてペルシャも200年後に、マケドニヤ出身のアレキサンダーに滅ぼされました。これが第三の青銅の国、アレキサンダー大王が全世界を征服したが、32歳のときに高熱(マラリヤではないかと考えられます)のために死に、国は三つに分裂してしまいました。

 

 そして、第四の国は鉄のように強い国、つまりローマ帝国が起ることを預言していたのです。そして、このダニエルが解き明かした夢のように世界の歴史は展開していき、今日に至っています。そして最後に、「それらの王たちの後に、天の神は一つの国を建てられます。これはいつまでも滅びることがなく、…そして、この国は立って永遠に至るのです」。と、神の国のことを預言したのです。(2019.3.10