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イエスの昇天について

『こういい終ると、イエスは彼らの見ている前で天にあげられ、雲に迎えられて、その姿が見えなくなった』。（使徒行伝１章９節）

　今日はイエスの昇天について話します。金曜日に十字架にお掛かりになったイエスは、日曜日の朝に墓から復活なさいました。そして、たびたび弟子たちの前に現れて復活されたご自身のお姿を見せて、復活の信仰を与えられました。そして４０日目に弟子や多くの人たちの見ている前で、雲に包まれて天に昇天されたのです。

　イエスは生前、『見よ、わたしは世の終りまで、いつもあなたがたと共にいるのである』。（マタイ福音書２８章２０節）と言っておられましたが、イエスはさっさとご昇天になられました。「わたしは世の終りまで、いつもあなたがたと共にいるのである」と言われたイエスの約束はどうなったのでしょう。実はイエスはその前にこんなことを言っておられます。

　ヨハネ福音書１４章１６節『父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。それは真理の御霊である』つまりイエスのご昇天の後に聖霊が降臨してわたしたちと共にいてくださるというのです。そしてご昇天から１０日目にエルサレムで待ち望みの祈り会をしていた弟子たちの上に聖霊が下りました。これが「聖霊降臨日」、つまり「ペンテコステ」です。

　では、天にご昇天されたイエスはどうしておられるのでしょうか。ローマ書８章３４節にこうあります。『キリスト・イエス・キリストは、死んで、否、よみがえって、神の右に座し、また、わたしたちのためにとりなして下さるのである』。また、ヘブル書７章２５節にも『彼は、いつも生きていて彼らのためにとりなしておられるので、彼によって神に来る人人を、いつも救うことができるのである』とあります。つまり、わたしたちのために神にとりなしていてくださっているのです。ですから、わたしたちはイエスの名によって祈るとき、イエスが神にとりなしてくださるので祈りが聞かれるのです。

　皆さんも祈るとき最後に「イエスの名によってお祈りします」と結びますが、これはそういう意味なのです。決して祈りの最後を結ぶ言葉ではありません。またヨハネ福音書１４章１４節に『何事でもわたしの名によって願うならば、わたしはそれをかなえてあげよう』。ここにある「わたしの名」とは言うまでもなくイエスの名です。そして、「何事でも」とありますが、これは「どんなことでも」という意味です。神は全知全能の神（オールマイティの神）ですから、神には出来ない事はありません。

　ある青年がお婆さんの家を尋ねました。そして「お婆さんも、ぼちぼち天国に行く用意をしなければ…」と言いましたら、お婆さんが「天国と極楽とどちらがいい」と聞きましたので、「天国は神さまがおられるところでいいところだ」と答えました。すると、「どうしたら天国に行けるのか」と聞きましたので、「それはイエス様を信じて洗礼を受けたらいい」と答えました。するとお婆さん、「それならわたしに洗礼を授けてもらいたい」と言いますので、教会に連絡がありました。早速教会からお婆さんの家に来て受洗の準備会をしました。

　いよいよ洗礼式の日、お婆さんは朝早くからお風呂に入り、綺麗な装いをして玄関で、教会から来るのをいまや遅しと待っていましたら、前を通りかかった近所の人が「お婆さん、そんな綺麗な装いをしてどうしたの」と聞きましたら、「へいへい、今日からイエス様のお嫁さんにしてもらいます」と答えましたので、近所の人は頭を傾げながら行ってしまいました。やがて、教会から来て洗礼式をしましたが、お婆さんは「これで天国へ行けるので感謝です」と喜んでいました。

　数日後、その青年がお婆さんの所を訪問すると、「もう天国に行けるから感謝だけど、一つだけ気掛かりなことがある」と言うのです。聞くと、「最後には誰からも下の世話をしてもらいたくない」と言うのです。そこで青年が、「それなら、そのようにお祈りをすればいい。聖書に「何事でもわたしの名によって願うならば、わたしはそれをかなえてあげよう」とあるから、と言うと、そのお婆さんは、毎日その事ばかり祈りだしたのです。

　それから、しばらくしてお婆さんが体調を崩して救急車で病院に運ばれましたので、駆けつけましたら、ベットの回りには家族や親戚の人たちが取り囲んで、いまわのきわを見守っていました。そこでお婆さんのために頭に手を置いて最後のお祈りをしました。その後、静かに召されましたが、そのとき気がついたのはお婆さんの最後はだれからも下の世話をされなかったことです。つまりお婆さんのお祈りの通りになったのです。山手教会でお葬式をしましたが、わたしはそのことの話をしました。

　　　　　　　　　　　　　　（2015．5．17）