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2018年6月3日

 

 

富める人たちに対する警告  

 

『富んでいる人たちよ。よく聞きなさい。あなたがたは、自分の身に降りかかろうとしているわざわいを思って、泣き叫ぶがよい。あなたがたの富は朽ち果て、着物は、むしばまれ、金銀はさびている。そして、そのさびの毒は、あなたがたの罪を責め、あなたがたの肉を火のように食いつくすであろう。あなたがたは、終りの時にいるのに、なお宝をたくわえている』。(ヤコブ51節)

 

 このところでヤコブは、富める者たちに対して「終りのときが近づいているのに、なお宝をたくわえている」と警告しています。その前に、414節に「あなたがたは、あすのこともわからぬ身なのだ。あなたがたのいのちは、どんなものであるか。あなたがたは、しばしの間あらわれて、たちまち消え行く霧にすぎない」とあります。つまり、はかない、そして短い命なのに地上の富だけを求めているが、そんなものは何にもならない。この世を去るときは何ひとつ持っていけない。みな地上に残していかなければならないことを言っているのです。

 

 また、詩篇904節以下に、「あなたの目の前には千年も、過ぎ去ればきのうのごとく、夜の間のひと時のようです。あなたは人を大水のように流れ去らせられます。彼らはひと夜の夢のごとく、あしたにもえでる青草のようです。あしたにもえでて、栄えるが、夕べには、しおれて枯れるのです…」とあります。実に儚い(はかない)人生です。

 

 また詩篇4916節にも、「人が富を得るときも、その家の栄えが増し加わるときも、恐れては(羨んでは)ならない。彼が死ぬときは何ひとつ携えて行くことができず、その栄えも彼に従って下って行くことはないからである」とあります。それだのに、なぜ地上の宝のことだけに執着しているのでしょうか。そんなものをいくらためても天国には何ひとつ持っていけません。

 

 次に、ルカ福音書12章を見ましょう。15節以下に『それから人々にむかって言われた、「あらゆる貧欲に対してよくよく警戒しなさい。たといたくさんの物を持っていても、人のいのちは、持ち物にはよらないのである」』とあります。ここで「人のいのち」とありますが、これは人間のしあわせのことです。つまり、財産がたくさんあるからといってしあわせになるとは限りません。そこでイエスは続いて言っています。

 

ある金持の畑が豊作であった。そこで彼は大きな倉を建てて、穀物をしまい込み、彼は長年分の食糧がたくさんあるから、「さあ安心せよ」と言いました。そのとき神が、「愚かな者よ、あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。あなたが用意した物は、だれの物になるのか」と言われたというのです。

 

 どんなにたくさんの宝を蓄えても、死んでしまったら何にもなりません。また、子どもに残しても自分で苦労しない財産は、かえって子どもを駄目にしてしまいます。お金は自分で苦労してこそ生きてくるのです。それよりもイエスは、「天に宝を積みなさい」と教えているのです。地上にたくさん富(財産)があるからといって、決してしあわせになるとは限りません。こんな話があります。

 

 昔、大阪にたいへん豊かな資産家がいました。彼は自分の座敷のなかに三畳間ほどの大きさの金庫を造りました。そして変わったことにその中に畳が敷いてあり、鍵が内側についているのです。そして寝るときは金庫の中で寝たそうです。彼は決して奇人変人ではありません。寝ている間に殺されるのではないかと恐れたのです。自分の家族さえ信じられないようでは、いくら財産があっても決してしあわせな人とは言えません。

 

 また、こんな話もあります。ある町に聖会の御用に行ったときに、その教会の牧師から聞いた話ですが、その町にとても仲のいい、そしてよく働く夫婦がいました。夫は貸衣装屋を経営し、妻は美容院の店を持ち、町の結婚式場とタイアップしてとても儲けていました。そして町の郊外に大きな家を建て、その周りは高い壁で囲まれていました。町の人たちは「大久保御殿」と言って羨んでおりました。

 

 ところが、そんな頃から夫が夜遊びをするようになり、午前様で帰ることが多くなりました。そして夫婦喧嘩が絶えなくなり、静かな郊外にその声が外まで聞こえるようになりました。

そんなある朝、朝帰りした夫とまた喧嘩がはじまりました。そのあげく、妻は家を飛び出して美容院の店のほうに出て行ってしまいました。

 

 頭にきた夫は、「おれの家だから、おれがどうしようが勝手だ」と、家中に灯油を撒いて火を付けたのです。大火事になり近在から数台の消防車が駆けつけて消火しましたが全焼してしまいました。夫は呆然として見ていましたが、自分の家といっても放火は放火ですから逮捕され、検察庁に送検されたのです。それを聞いて町の人たちは冷たく言ったそうです。「あの夫婦もこれで終わりだなあ」と。なにがこの夫婦をこんな不幸にしたのでしょうか。昔から言います、「お金は魔物だ」と。(2018.6.3