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2011.11.20
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  柔和な者は国を継ぐ
 

『しかし柔和な者は国を継ぎ、豊かな繁栄をたのしむ
ことができる』        (詩篇3711節)

 

今日は『柔和』ということについて話します。イエス
もマタイ福音書の山上の垂訓のなかで、『柔和な人たち
は、さいわいである。彼らは地を受けつぐであろう』
55節)と言っておられます。この「柔和」とは、
広辞苑を開いて見ると、「性質、態度がやさしく、おと
なしいこと」とあります。そして、これもまた「クリス
チャンの徳目」なのです。

そこで今日はまず旧約聖書に登場するギデオンの柔和
について話します。彼はイスラエルの『士師時代』に活
躍した士師です。そして彼の活躍は士師記6章から8
にわたって記されています。彼は農夫でしたがイスラエ
ルがミデヤンの大軍に攻められた時に士師として立てら
れ、イスラエルの為に働きました。



 士師記8章1節『エフライムの人々はギデオンに向かい
「あなたが、ミデアンびとと戦うために行かれたとき、わ
れわれを呼ばれなかったが、どうしてそういうことをされ
たのですか」と言って激しく彼を責めた。ギデオンは彼ら
に言った。「今わた
しのした事は、あなたがたのした事と
比べものになりましょうか。…わたしのなし得たことは、
あなたがたのした事と比べものになりましょうか」。ギデ
オンがこの言葉を述べると、彼らの憤りは解けた』

 ギデオンがミデアン軍と戦うとき彼の手の者は3万2
千人でした。それに対してミデアン軍は「民はいなごの
ように数多く谷に沿って伏していた。そのらくだは海べ
の砂のように多くて数えきれなかった」のです。これで
は多勢に無勢で戦いになりません。ところが神は「これ
では多すぎる。戦いたくない者を去らせなさい」と言わ
れたのです。

 そこで、そのように民に告げたところが、敵の数に恐
れをなした者たちが続々と戦列を離れて、残った者の数
は1万人になりました。ところが神は「それでも多すぎ
る」と言われ、ふたたび神の言われるままに選別したと
ころが、選ばれたのは三百人になりました。そして神は
それで戦えと言われたのです。

 ギデオンはこの三百人の精兵をミデアン軍の野営地を
取り囲み夜襲をしたところが、ミデアン軍に混乱が起こ
り同士討ちをしたのです。そのギデオン軍の優勢な戦い
ぶりを見て、戦意を失って戦列から離れていた者たちに
勇気が与えられて戦いに参加したのです。そうしてイス
ラエルは完全に勝利をしました。

 その後、エフライムの人たちがギデオンのところに来
て「戦うときにどうして我々に声を掛けてくれなかった
か」とクレームを言ってきたのです。彼らは戦うことを
恐れて戦列から離脱していたのに、よくもこんなことが
言えたものです。それに対してギデオンは「わたしがし
たことは、あなたのした事と比べものになりましょうか」
と下手にでたところが、エフライムの人たちの憤りが解
けたというのです。それはギデオンが柔和な態度で接し
たからです。箴言15章1節に『柔らかい(柔和な)答
えは憤りをとどめ、激しい言葉は怒りをひきおこす』と
あります。

 

 わたしたちがこの世の人と接するとき、無理無体を言
われることがあります。そんなときに自分の義を立てて
争っても決して益にはなりません。むしろ角が立つだけ
です。

 

 ガラテヤ人への手紙5章22節『御霊の実は、愛、喜
び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、柔和、自制』とあ
ります。そしてこの柔和も御霊の力によって与えられる
ものなのです。わたしたちも御霊の力によって柔和であ
りたいものです。柔和こそがクリスチャンの徳目です。

 

 わたしたちの教会に、いつも柔和なお爺さんがおられ
ました。いつもにこにこして、その人の怒った顔、厳し
い顔をみたことがありませんでした。ところが、その人
は二十歳まではそうではなかったそうです。気が短く、
気に入らないとすぐに喧嘩をしたそうで、二十歳までに
仕事を20回も変わったので親が心配をしたほどでした。
あるときは建造中の軍艦の甲板で取っ組み合いの喧嘩を
したという武勇伝の持ち主でした。

 ところが二十歳のときに友人に誘われて教会に来て、
救われてクリスチャンになりました。そのときから御霊
によって性質が全く変えられ柔和な人となりました。そ
して人と争うことをしなくなったのです。これも御霊に
満たされた結果だったのです。

 

 最後に、コロサイ書3章12節『あなたがたは、神に
選ばれた者、聖なる、愛されている者であるから、あわ
れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい』。


                  (Nov,20,2011)